2020年総括 その1

<Albums>

1.JOHN LEGEND『BIGGER LOVE』
Bigger Love
2.DISCHARMING MAN 『POLE & AURORA』
POLE & AURORA
3.赤い公園 『THE PARK』
THE PARK (通常盤) (特典なし)
4.AC/DC 『POWER UP』
Power Up -Digislee-
5.SAULT 『UNTITLED (BLACK IS)』
Untitled (Black Is)
6.DROPDEAD 『DROPDEAD 2020』
Dropdead 2020 [Explicit]
7.DOS MONOS 『DOS SIKI』
Dos Siki
8.iri 『SPARKLE』
Sparkle
9.FIONA APPLE 『FETCH THE BOLT CUTTERS』
Fetch the Bolt Cutters
10.DIZZY MIZZ LIZZY 『ALTER ECHO』
Alter Echo
次点:DEFTONES、RUN THE JEWELS


Raphael Saadiqがエグゼクティブプロデューサーとしてクレジットされてる『BIGGER LOVE』は、ソングライターもプロデュースも演奏陣もマチマチだけど、アルバムとしてのまとまりがあって、スっと聴けるのが実にお見事。16曲も入ってるのに全然長ったらしくないし、ストリーミングの時代に放つパッケージ作品としては鑑のような存在だなと。製作総指揮のRaphaelの神通力なのかな、これは。Raphaelファンとしては、そう信じたい限りだけど。今考えると本人の近作『JIMMY LEE』もパッケージとしてのまとまりが秀逸だったもんね。


DISCHARMING MANはね、ホント待望だったよね。ノッチさんの脱退がなければ、1年早く聴けたかもしれないけど、でも、待った甲斐のある大傑作でしょ。蛯名さんも言うように、このメンバーになったからこそ生まれ得た楽曲もあるのだし、素晴らしいアルバムだわ。録音も最高にいいんだよな。ダブミックスで再録の「Disable music」は、録音面では本作のハイライトだよね。一方、楽曲に関して言えば、「February」が個人的にはハイライトかなあ。オレ、この曲、ナマで聴いたことあるかな。どうだろ。「極光」と(本作には未収の)「無知の丘」は絶対ナマで聴いてるんだけど。「February」ナマで聴いたら泣くなあ、絶対。早くライヴ観たいっす。


理子が加入して以降の赤い公園は、本当に大切に大切に歩みを進めてきたよね。「焦らない」ってことは本当に重要なことだった。そのことは、このアルバムがこんなにも素晴らしい傑作になった事実が証明してる。そして、快進撃は続くはずだった。超名曲「KILT OF MANTRA」で幕を下ろさず、追加で仕上げた「yumeutsutsu」がラストナンバーになってることの意味よ。
でも、米咲はいなくなった(らしい)。ツアー0日目のままなのにね。相変わらずオレは自殺報道を信じる気なんかサラサラないけどさ。米咲が亡くなってしまったことを抜きに、このアルバムをただ正当に評価したいし、正しく愛聴したい。今はただそれだけです。


AC/DCをはじめ、このテのバンド評に付いて回る「金太郎飴」というワード。でも、まあ、「金太郎飴」という表現よりも「継ぎ足し継ぎ足しの秘伝のタレ」という表現のほうがしっくりくるよね。このアルバムに入ってるリフを(フルボリュームで)聴いてたら、そうとしか考えられなくなってしまった。これ以上望むものが何もないもんな。


多分、去年Little Simzをストリーミングでよく聴いたからなのか、レコメンドアルゴリズムでSAULTの名前を見かけるようにはなってたんだよね。で、そこにきてBLACK LIVES MATTERの機運に合わせた新作の公開。飛びついて聴いてみたら、めちゃくちゃカッコ良かった。後述のFionaちゃん『FETCH THE BOLT CUTTERS』と並んで各メディアのAOTY2020の常連ってカンジだけど、100%うなずけるわ。
SAULTはこの後、これの続編もリリース済みだけど、そっちもめちゃくちゃ高評価みたい。オレもちょろっと聴いたけど、確かに超良さそう。


DROPDEADについては、今これを書いてる時点ではLPはまだゲットできてないので、あくまでもデジタルで聴いたカンジでの評価になっちゃうんだけどね。だから、LPで聴いた後だったら評価は変わるかもしれない。
さすがに『落とす死』と同等のインパクトだとは言わないけど、でも、全曲「あの」DROPDEADで、安心するし燃える。血しぶきを上げるかのごときBobのヴォーカルよ。早くLPで聴きたし。


DOS MONOSのは4曲(しかも15分)だけど、本人がアルバムだと断言してるので、この部門に入れることにしよう。4曲でひとつの作品と捉えると、むしろアルバムらしいアルバムなのかも。
リリースパーティートークショーで聞いた話も加味して考えると、本当に渾身の力作ってカンジ。リリック面では相変わらず没ファンだな、オレは。めちゃカッコイイ。


iriの4thアルバム。相変わらずつまんない曲がひとつもないもんな。ソングライターとしての彼女がどれほど凄い才能の持ち主なのか、って話。リリースペースも全然落ちないし、彼女の快進撃を目一杯楽しんじゃおう、って話。


次、Fiona Apple。まあ、PITCHFORKで10年ぶりの10点満点って話は置いといて、あくまでもオレ自身がこの作品をどう楽しめるかってのが本題。というのも、個人的には前作がまったく楽しめなかったので。今回のアルバムリリースに際して、前作も久々に聴き直してみたんだけど、やっぱり理解できず。
で、本作。前作よりはポップなんだと思うな。楽しめてるもん、オレ。でも、やっぱ、言葉主導のアルバムだという捉え方のほうがしっくりくるな、オレは。個人的には「Relay」が一番好きなんだけど、歌詞に注目しながら末永く愛聴したい。聴き方・好み・評価も変わっていくかもね。


DIZZY MIZZ LIZZYはなあ、うーん、ハードルを上げすぎたな、ってのが率直な感想。(おそらく政則様が出所であろう)前評判なんかガン無視しとくべきだった。DIZZY MIZZ LIZZY的に(あるいはTim Christensen的に)そこまでエポックメイキングな作品ではないと思うね。もちろん、良質なリフ、良質なメロは豊富に入ってるけどさ。もっとフラットに接して、「ああ、今回もいいアルバムだな」ぐらいに思えるのがちょうど良かったんだろうな、ホントは。






この他「フィジカル買ってないけどストリーミングでよく聴いた作品」としては、WONK、LITTLE SIMZ、ゲスの極み乙女。なんかが挙げられる。「お手頃価格でフィジカルが手に入らない案件」は確実に増えてきたね。個人的には色んな選択肢を残しておいてくれたら嬉しいんだけどね。
あと、COMMONはストリーミングではとっくにリリースされてるんだけど、フィジカルは来年ってことなんで、2020年の対象からは外しておいた。2021年のほうで対象ってことにしよう。もちろん、すでにちょろっと聴いたんだけど、すごく良さそうだよね。


2021年に期待するリリースは何だろうね。世間的にはKendrick Lamarの新作が出そうってことで話題になってるのかな。
個人的には相変わらずMAXWELLの新作を待ち続けてるんだけど、まあ、気長に待つのが正解かな、あの人は。
あとは、そうだね、忘れたころにHIATUS KAIYOTEの新作が突然出てきたりしたら嬉しいかな。