DAVID BOWIE IS

観てきた。盛況だったなあ。そして、まあ、客層のバラバラぶり。これがBowieの客層か。11年前の武道館に足を運んだときは、ここまで客層のバラエティーが広いとは感じなかったんだけどね。どうなんだろ、本人不在のうちにも着々と新たなファン層が開拓されてるのかね。


作品はV&A博物館で開催された回顧展を映像化したもの。だいぶ淡々と進む印象ではあるけど、ところどころ興味深いポイントが散りばめられてたな。


まず、DIAMOND DOGSツアーの話。サプライズで映像が発掘なんてことになれば超弩級だったんだけど、さすがにそれはなく。オレの一番好きなアルバムである『DIAMOND DOGS』がOrwellの『1984』舞台化断念の末に出来上がった作品であることはもちろん知ってたけど、その後Bowieは映画化を狙っていたそうな。それは知らなかったな。だからこそ、DIAMOND DOGSツアーのステージセットや演出は、その残骸でできているようだ。んで、残された絵コンテなどを基にアニメーションが流された。まあ、あれじゃ、当時のステージがどれほど素晴らしかったのか伝わってこないけれどねえ。拝啓Bowie様、今からでも再現しません?


何人かのゲストが登壇してトークセッションをするんだけど、そのなかには寛斎さんの姿も。英語の発音がびっくりするぐらいのレベル(悪いほうの意味)だったんだけど、ウケてたから伝わるもんは伝わるんだなと。鋤田さんが撮った写真にも写っている衣装は女性用にデザインしたんだって。それをBowie本人が着ることを知らなかったから、寛斎さんはびっくりしたんだって。あと、これは全然余談だけど、寛斎さんは昔ウチの地元に住んでいてね。オレも子供のころ一度遭遇して喋ったことがある。当時、Bowieを聴き始めていなかったので「この人がZiggyの衣装を作った人かあ」という感慨はなかったんだけど。


ベルリン時代の言及もあったな。当時熱心に絵を描いていたそうな。Iggyの肖像画を何枚か描いたみたいで、それがちらっと映ったんだけど初めて観たなあ。素晴らしかったよ。当時の偏執的なまでのIggy愛を感じるね。


もちろん、映画出演に関する言及も。オレは多分『THE MAN WHO FELL TO EARTH』とあと一本ぐらいしか観たことないなあ。まあ、でも、『LABYRINTH』はメジャーなんだろうね。多分オレも初めてBowieの顔を見たのは『LABYRINTH』のあの役だと思うもん。Warholの役を演じたのは『BASQUIAT』かな。それはちょっと観てみたい。
いささか残念だったのはライヴ映像としてフィーチャーされたのが2000年のライヴと2001年のライヴだったことかな。2000年前後といえば、もう長い低迷期は抜け出していたし、オレ自身も好きな時期だったけど、でも、せっかくだから、もっとインパクトのある映像を見せてほしかった気もするかなあ。


まあ、そんなこんなで、この映画をとても楽しめたことは間違いないんだけども。ただ、一番いいのはこの回顧展が日本にもやって来て実物をこの目で見られることだ。ヨーロッパを飛び出してブラジルでも開催すると劇中で語られてたよ。なぜ、日本に来る予定はないのだろう。Bowieにとってドイツの次に結びつきの強い国と言っても過言ではなさそうなのに。


あと、劇中で使われている楽曲の音がすっげー良かったな。これ、去年出たベスト盤と同じマスターを使用しているのかな。あのベスト盤、オレもいい音だとは思ってるけど、家で聴くとあそこまで凄い音じゃない。やっぱ、そこは劇場の音響が素晴らしいってことなのかしら。特に、「Fame」なんかすっげーカッコ良く感じた。個人的に、そこまでお気に入りの曲じゃないんだけどね、「Fame」は。でも、あんなカッコイイ音で聴いたら改めて惚れちゃう。