JIMI:栄光への軌跡

祝日で、しかも料金の安い日に観に行ったから盛況だったね。しっかし、最初に「Andre、Hendrix役を演るってよ」って聞いてからもう何年の月日が流れただろう。余裕で5年以上経ってる気がする。その間、Hendrixの楽曲使用の許可が下りなかった話だとかも伝わってきて、このプロジェクトが決して順風満帆なものではないことは白日の下にさらされていた。おまけに、完成後も元恋人Kathy Etchinghamが作品そのものを否定。まあ、散々な状況のなかで遂に日本公開にこぎ着けたわけだ。


こんな状況だからこそ、観る前からハードルを高めに設定することはあり得ないわけで。むしろ、逆に低めに設定されて当然ってカンジかな。おかげで、観終わったときの率直な感想が「言うほど悪くはない」というものだったわ。これがもし、ハードルを高めに設定しちゃってたらガッカリ感が大きかったと思うけどね。注目のAndreの演技だけどね、個人的にはそんなに「Hendrixにそっくり!」と思えなかったかな。根本的にAndreのほうが声が高いのかな。喋り方の抑揚とかは似てるのかもしれないけど。個人的に「これはそっくり!」と思ったのはChas Chandler役の人だったな。顔も背格好も似てたよ。あ、まあ、どれだけ似てるかってことが作品の質を左右するわけじゃないけどね。


Londonでのデビュー前後の2年間を描いたこの作品。結局、この時期のHendrixは誰ともわかりあえなかったのだと思う。劇中に出てくる誰ともHendrixの会話が噛み合うことはない。音楽的にも思想的にも、彼と同じことを考えている人はいなかったのだと思う。親交が深かったと言われるBrian Jonesとはいつ知り合うのだろうか。この作品にはBrianは登場しないのだが、BrianこそがHendrixのソウルメイトだったのだろうと推察する。


そして、EXPERIENCE楽曲の使用不可について。監督を含め制作側は「成功を収める前のHendrixに焦点を当てた内容ゆえ、EXPERIENCEの楽曲を使えなくても大きな問題はない」という見解を示しているそうだが、実際に観た感想としてはやはり問題がないとは言えないなと。楽曲を使えないことの弊害は確実に存在する。楽曲およびレコーディングに関する話が出てきたときに、どうしてもそこを掘り下げることができないために、核心に触れぬまま次のシーンへ、ってな展開になるのだ。たとえば「Hey Joe」なんかはオリジナル楽曲ではないけど、それも使えないんだろうね。Chas Chandlerの証言によると、CAFE WHA?でHendrixを初めて観たとき、1曲目に演奏したのが「Hey Joe」だったことになっているんだけどね、劇中ではそれも違っていたから。


あとはそうだな、出てくる女優さんがみんな超綺麗だったな。あと、Michael Xなる人物のことはこの作品で初めて知った。