INFEST 『SLAVE』

スイスのOFF THE DISKからリリースされた12"。A面には自主の7"『INFEST』がそのまま収められている。このバンドが、すんげーーーと思わせるのは、その音楽の多様性かもしれない。POWER VIOLENCEという言葉のそもそもの成り立ち(本来の意味)にはここでは敢えて言及しないが、どうしてFAST COREとかUS THRASHとかいう言葉では、このバンドを表す呼称と成り得なかったのか。それはひとえに、このアルバムに収められている実に多様な要素が既存のジャンル名を拒絶したからに他ならない、と僕は考える。


よくよく聴くとブラストビートは部分的な要素でしかないが、やはり全体に漲るスピード感、メタル的重さを多分に含んだスローリフ、NYHCバリのシンガロングコーラス、そして挙句にはメケメケのギターソロまで飛び出す。その全ての要素がJoe Denunzioの超個性的なヴォーカリゼーションと共にINFEST色といえる完全なオリジナリティーを築き上げている。うーむー。凄すぎ。80年代後期の最重要バンドのひとつといえるし、POWER VIOLENCEの代表格として以降90年代の全FAST系に多大な影響を及ぼしたと断言できる。DRAW BLANKからの再発盤が出るまではブートが腐るほど出回ったらしいが、まあ、そりゃそうだな。


あんまりレア盤とかを持ってない僕ちゃんにとっては本作のオリジナル盤を所有していることが数少ない誇りのひとつだな。