Gil Scott-Heron 『The Last Holiday: A Memoir』

Gil Scott-Heronの自伝読み終わった。2011年に亡くなるまでの彼の長いキャリアを総括するようなカンジの構成ではなかったね。それもそのはずで、本作はそもそも自伝として書き始められたわけではないそうだ。90年ごろに書き始めたときはStevie Wonderとのツアーのこと、そして、Stevieが成し遂げた偉業のことを書くつもりだったそうだ。その後、周囲のアドバイスを受け入れる形で自伝のスタイルへと書き直されたものの、やはり核となるのはその部分のこと。割合的にはデビュー前までのことが一番多いんだけど、デビュー後に関してはStevieとのことに重きが置かれているカンジ。Stevieディスコグラフィーに重ね合わせて言うと、まさに『HOTTER THAN JULY』のころで、それは一般的なSoulファンや評論家筋からは必ずしも最高の評価を得ているとは言い難い時期だったりもする。それでも、GilのStevieへの評価は高く、こと日本ではRare Grooveの代表選手的扱いを受けている彼がドメジャーなStevieを誇りにしているという事実が微笑ましくも逞しくもあるのだった。


そして、改めて思うのはマルチタレンテッドな人だったんだなということ。『PIECES OF A MAN』と『FREE WILL』を出した時点ではまだ「あくまでも作家志望」という考え方だったみたいだよ。そんな彼のことだから、この著作に関してもレトリックにも味わいがあるはずで、本当は原文で読むべきなんだろうけどね。オレの英語読解能力では無理だろう。。。 でも、訳を担当した方はそのあたり気を遣っているようで、Gilが韻を踏んだと思しき箇所は(無理矢理感はあるものの)英語のルビを振るなどして対応している様子。これはこれでありがたかった。


ところで、オレは彼の作品をいっぱい持ってるけど、アルバム『BRIDGES』を持ってないなと思って。そこには「We Almost Lost Detroit」が収録されているらしい。これは絶対ゲットしないとね。NO NUKES!